日本内科学会雑誌
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中鎖脂肪酸の腸管吸収にかんする実験的研究特に吸収時の腸粘膜内再エステル化について
馬場 忠雄
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1970 年 59 巻 11 号 p. 1185-1194

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抄録

近年,脂肪の消化吸収と腸粘膜代謝にかんする研究の進歩により脂肪吸収障害の病態生理が明らかになつて,吸収不良症候群の治療に新しい脂肪源として中鎖脂肪が注目されてきた.ところが中鎖脂肪の腸管吸収の様相およびその際の腸粘膜代謝の基礎的研究,とくに中鎖脂肪の長鎖脂肪へのエステル化の機構についてはまだ解明されていない.著者はラットのeverted sacを標識オクタノイン酸とともにincubateしてその腸粘膜代謝を検討した.incubateしたのち腸粘膜より脂質を抽出してカラムクロマトグラフィーにて各分画に分け,そのトリグリセリド分画をラジオガスクロマトグラフィーにて分析した.標識オクタノイン酸はトリグリセリド分画にオクタノイン酸のままで長鎖脂酸グリセリドとエステル化して存在した.またこのトリグリセリドの膵リパーゼによる水解でオクタノイン酸はグリセロールの1, 3部分の両方あるいはそのどちらかにエステル化されていると推定した.

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