日本内科学会雑誌
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Microangiopathic hemolytic anemiaとcryofibrinogenemiaを呈した若年性胃癌の1例
阿部 祥子石川 邦嗣西家 〓仙新津 洋司郎小山 隆三後町 洋一福田 守道小山 捷平藤原 誠喜
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1971 年 60 巻 11 号 p. 1208-1213

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抄録

1962年Brainらは,急性腎不全,播種性転移癌などに合併した重篤な溶血性貧血が,末梢血中の特徴的な赤血球形態異常と,組織学的にはフィブリノイド壊死,硝子様血栓等の細小血管内病変microangiopathyの二つによつて特徴づけられることより, microangiopathic hemolytic anemia (MHA)なる概念を提唱し,赤血球の変形は血管病変部に赤血球が直接接触するために生ずるものと推論した.近年注目されつつあるのは, MHAに血小板減少のほか,フィブリン分解産物(FDP), cryofibrinogenなど血管内凝固を示す所見がみられることであり, Brainらは播種性転移癌の12例について報告した中で,腫瘍細胞に由来するthromboplastinが血管内凝固を引き起こし,細小血管部の病変はこのために生ずるものであろうと述べている.今回われわれは, 19才,女子の胃癌に併発したMHAで,血液凝固の所見としてcryofibrinogenが証明された症例を経験したが,これはMHAの成因を考察する上で示唆に富む症例と思われるので報告する.

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