日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
青梅市で発見された燐脂質脂肪肝の2症例
鶴田 吉昭市原 靖吉野 住雄大賀 一臣上野 格成中里 全宏大牟礼 一雄吉植 庄平兼高 達弐三宅 和彦内藤 周幸織田 敏次吉利 和志方 俊夫
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 60 巻 3 号 p. 235-239

詳細
抄録

1968年6月,織田らは燐脂質が大量に肝細胞内に蓄積した特異な脂肪肝の3症例(うち1例青梅の症例)を初めて報告した.今回,われわれは青梅市の2症例につき詳述した.患者はともに中年過ぎの女性で心悸亢進,息切れを主訴とし,肝腫大が著明であつた.血清コレステロールをはじめ燐脂質,トリグリセライド,遊離脂酸すべての増加があり,赤沈促進,CRP陽性であつた.血清燐脂質分画ではリゾレシチンの増加が認められた,肝生検組織の電子顕微鏡検査で特徴的なミエリン様構造が見出されたものである.1例については末梢血白血球にも同様のミエリン様構造が認められ新たな所見として注目している. Niemann-Pick病などのlipidosisにミエリン様構造がみられるといら報告はあるが,臨床症状,好発年令などより,本疾患はこれらと異つたものと思われる

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top