1968年6月,織田らは燐脂質が大量に肝細胞内に蓄積した特異な脂肪肝の3症例(うち1例青梅の症例)を初めて報告した.今回,われわれは青梅市の2症例につき詳述した.患者はともに中年過ぎの女性で心悸亢進,息切れを主訴とし,肝腫大が著明であつた.血清コレステロールをはじめ燐脂質,トリグリセライド,遊離脂酸すべての増加があり,赤沈促進,CRP陽性であつた.血清燐脂質分画ではリゾレシチンの増加が認められた,肝生検組織の電子顕微鏡検査で特徴的なミエリン様構造が見出されたものである.1例については末梢血白血球にも同様のミエリン様構造が認められ新たな所見として注目している. Niemann-Pick病などのlipidosisにミエリン様構造がみられるといら報告はあるが,臨床症状,好発年令などより,本疾患はこれらと異つたものと思われる