日本内科学会雑誌
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自己免疫疾患の網内系機能
大内 栄悦洞口 有成金子 良太郎野村 暢郎阿部 サナエ三浦 清美山形 敞一斉藤 輝信岡崎 太郎
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1972 年 61 巻 1 号 p. 13-24

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抄録

自己免疫疾患の発生病理については多くの成績が発表されているが,いまだ決定的な病因はないといつてよい.また自己免疫疾患の発生病理に関連するものとして,本疾患の網内系機能にかんする研究もきわめて少ない現状である.したがつてわれわれは諸種自己免疫疾患における網内系機能をコンゴー赤法によつて測定し,同時にその成績と臨床検査成績および臨床経過などと比較検討した.その結果はリウマチ様関節炎,全身性エリテマトーデス,特発性栓球減少性紫斑病, Behcet病では,多くは軽度または中等度の網内系機能障害を認めた.また白血球減少例,リンパ球実数減少例, RA陽性例, ASLO正常例において網内系機能が障害されている例が多い.リウマチ様関節炎ではCRP陰性例,経過の長い例において網内系機能が障害されている例が多い.血沈, γ-グロブリン, A/G比,血清免疫グロブリン,ステロイド療法および金療法の有無と網内系機能の間に相関はない.また網内系機能と自己免疫疾患の発病年令および疾患の経過との間に相関はなく,網内系機能の悪化と種々の臨床検査成績との間の相関がないことより,疾患の発症以前に網内系機能が障害されていることが推定された.

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