日本内科学会雑誌
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癲癇患者にみられた原発性後天性無γグロブリン血症
その成因にかんする一考察
岡田 弘大賀 辰次郎加納 正佐藤 正保
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1974 年 63 巻 1 号 p. 49-56

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抄録
本例は,気道感染による発熱をくり返し,時に両膝関節痛を来たす, 59才,男子の癲癇患者である.血清中IgG・IgA・IgMの消失ないし著減,唾液・胃液中の分泌型IgAの欠如,骨髄細胞中の形質細胞の消失,抗原刺激後摘出したリンパ節の胚中心の無形成,直腸粘膜下のリンパ装置・形質細胞の消失など, Bリンパ球系の障害が認められたほか, DNCB反応陰性, PHA添加リンパ球幼若化率低下など, Tリンパ球系の障害も推定された.以上により,原発性後天性無γグロブリン血症(common variable immunodeficiency)と診断された.癲癇との合併は,本症と中枢神経系疾患および抗癲癇薬との関連を示唆した.末梢血の染色体分析では,傷害・断裂を基本とする異常が高頻度にみられ,ビールス感染・抗癲癇薬の影響が考えられた.また無酸症・胃液pepsinogen活性低下があり,胃粘膜機能の脱落状態が推定された.さらにRF陽性関節炎の存在は,免疫不全症と自己免疫現象の深いつながりを示すものとして注目された.
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