日本内科学会雑誌
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Flavobacterium meningosepticumによる亜急性細菌性心内膜炎1例
山門 実多川 斉田中 茂町井 潔
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1975 年 64 巻 8 号 p. 816-820

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抄録

Flavobacterium meningosepticumはときに新生児髄膜炎の原因菌として報告されるグラム陰性桿菌である.同菌による敗血症は希であり,とくに亜急性細菌性心内膜炎は, WerthamerとWeinerが1例報告したのみであり,本邦では報告をみない.著者らは同菌によると思われる亜急性細菌性心内膜炎を経験したので報告する.症例: 18才,女性.既往歴にリウマチ熱の罹患をみない.感冒様症状にて発症.弛張熱持続し,抗生剤療法に抵抗するため入院.弛張熱,心雑音, UCGによる弁vegetationあり,細菌性心内膜炎と診断した.抗生剤療法を行なうも効果なく死亡した.血液培養にて腸内細菌以外のグラム陰性桿菌が検出され,後に同菌はFlavobacterium meningosepticumと同定された.薬剤感受性試験では, minocyclin(〓), tetracyclin(+), chloramphenicol(+)であつた.剖検所見は細菌性心内膜炎に一致し,僧帽弁の壊死性変化と乳頭筋腱索の断裂,肺・腎の細菌性塞栓,敗血症性肝炎を認めた. Flavobacterium meningosepticumは本来弱毒菌であるが,宿主の感染防禦能の低下した状態や菌交代現象の結果として病原性を有し,院内感染の原因菌ともなることがある.

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