日本内科学会雑誌
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64 巻, 8 号
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  • 深瀬 政市
    1975 年 64 巻 8 号 p. 753-770
    発行日: 1975/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 舟田 久
    1975 年 64 巻 8 号 p. 771-782
    発行日: 1975/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    金沢市在住の満15才~69才の健康人167名を対象に,咽頭菌叢の構成について種々の観点から解析を加えた.健康成人の咽頭菌叢を構成する菌種の範囲と量的多寡に一定の傾向がみられ,その構成は,本質的には,性別,年令や喫煙に左右されないものであつた.健康成人の咽頭菌叢は, α-Streptococcus, Neisseria, γ-Streptococcus, Micrococcus, Corynebacteriumの5菌種による固定的菌叢と,通常, 2~4種の菌による流動的菌叢からなりたち,全体としての堅牢性を維持していると考えられた.季節的変動からみると,冬期に分離菌種の範囲や健康人一人あたりの分離菌種数のみならず,各菌の検出率が夏期よりも増大する傾向にあり,さらに,冬期菌叢には,老令や喫煙の影響ならびに菌相互の関係が複雑に作用しあつていることが示唆された.また,喫煙群の菌叢構成は,非喫煙群のものより,季節変化に安定であつた.それで,夏期菌叢が,その簡潔さから,季節的に最も基本的な菌叢構成を呈すると考えられた.抗生薬(ampicillin)投与による菌叢構成の撹乱は,流動的菌叢に著明にあらわれ,みかけ上の変化が回復しても,さらに引き続くことが示された.咽頭にグラム陰性桿菌を有する健康成人には,生菌や加熱菌に対する血中抗体価の上昇を認めなかつた.これらの成績は,一般呼吸器感染症や宿主防禦能低下時に発症する感染症の原因菌検索のために実施される咽頭培養の成績の解釈に有用であることが示唆された.
  • 今野 淳, 本宮 雅吉, 大泉 耕太郎, 有路 文雄, 佐藤 博, 林 泉, 荒井 秀夫, 横沢 厚信
    1975 年 64 巻 8 号 p. 783-796
    発行日: 1975/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺線維症における肺線維化の機序を知るためにびまん性肺線維症患者の生検肺および剖検肺について超微形態学的検索を行ない,又結合織蛋白(コラーゲン,エラスチン)の定量を行ない,かつ結合織のground substanceであるムコ多糖の分画定量を実施し,正常肺と比較した.超微形態学的には肺線維症では肺胞I型の細胞が減少し, II型細胞の増殖がみられ,間質にはコラーゲンの増生が目だつていた.線維芽細胞の粗面小胞体は数を増し,形も大きくなり,中に無形物質がつまり更にゴルヂ体も多くなつていた.細胞表面から微細線維様物質が出てmicrofibrilとなり,更にコラーゲン線維となる過程が観察された.肺のmicrofibrilの直径は50~100Åでコラーゲン線維の直径は300~500Åで約600Åの周期性をもつ横紋構造を示していた.線維肺のコラーゲン,エラスチンの定量を行なつた.食塩および希酸可溶性のコラーゲンの量は正常肺の2倍に増量していたが不溶性のコラーゲンは余り増量が認められなかつた.エラスチンも増量が認められた.線維肺のムコ多糖を分画定量した.すなわち脱脂肺をプロナーゼで2回蛋白消化を行ない三塩化酢酸を加え,上清に食塩飽和エタノールを加えムコ多糖を得,これをカラムクロマトグラフィーにかけ分画し,更に分画したものを電気泳動を行ない,酵素消化を実施してムコ多糖の分画を行なつた.線維肺,正常肺ともにヒアルロン酸,コンドロイチンA (C),デルマタン硫酸,ヘパラン硫酸が存在するが線維肺と正常肺との大きな差異はムコ多糖の構成比で見ると,線維肺はデルマタン硫酸が16%であるのに対し,正常肺は5%で線維化の際にはデルマタン硫酸が増量することが知られた.
  • 日高 宏
    1975 年 64 巻 8 号 p. 797-808
    発行日: 1975/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    フロセマイド〓立位負荷によるレニン刺激試験に対する反応によつて選別した“低レニン”本態性高血圧症(LRH)について,アンジオテンシンII注入,合成ACTH静注およびフロセミド〓立位負荷に対する血漿アルドステロン(Aldo)の変動を観察し,正常人および各種疾患のそれと対比して検討を加えた. LRHではアンジオテンシンII注入に対する血漿Aldoの反応が,原発性アルドステロン症と同様に抑制されたが,正常人はdose responseを示して増加した.正常レニン本態性高血圧症では正常増加反応を示し,二次性アルドステロン症では反応の増強が認められた. LRHにおけるACTHに対する血漿Aldoの反応は正常増加を示し,またフロセミド〓立位負荷に対しても,血漿レニン活性が低(反応)値にもかかわらず,血漿Aldoは増加した.また,このばあいアンジオテンシンIIに対する血漿Aldoの反応の抑制はKを負荷しても認められたが, Naを制限するとその反応に回復がみられた.以上の成績は, LRHにおいては,アンジオテンシンIIによるAldo分泌刺激作用が,おそらくNa代謝に関連した何らかのメカニズムによつて選択的に抑制を受けていることを示し,これは原発性アルドステロン症と共通のものかも知れない.このことは, LRHの病態生理に副腎の関与する可能性についての有力な示唆を与えるものと考える.
  • 福田 信二, 山本 徹, 岩本 節子, 徳久 隆成, 三瀬 淳一
    1975 年 64 巻 8 号 p. 809-815
    発行日: 1975/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    56才の男.職業は屋内装飾業,既往歴にアレルギー疾患,寄生虫疾患はない.全身浮腫,呼吸困難,腹部膨満を主訴として来院した.主な理学的所見は,心拡大,呼吸音の減弱,両側下肺野に摩擦音を聴取,肝を右季肋下で2横指触れ,脾臓を左季肋下で5横指触知した.神経学的検査では,右上下肢に病的反射が認められた.主な臨床検査成績は,末梢血で56.5~87%の成熟型好酸球増多を伴う白血球増多,著明な成熟型好酸球増多を伴う過形成骨髄像を示したが, Ph1 chromosome陰性, LE細胞陰性,血清γ-globulinは正常であつた.病理組織学的には,全身諸臓器への成熟型好酸球の浸潤をみ,従来のeosinophilic leukemiaの像に一致し,さらに心にendocarditis parietalis fibroplasticaをみLöffler's endocarditisに当てはまる像を呈した.また全身諸臓器の小動脈における血栓形成,その器質化ならびに再疎通像が顕著であつた.一方好酸球増多が指摘される以前に糖尿病の発症をみ,眼底では糖尿病性網膜症が認められた.臨床検査成績,病理組織学的所見を中心に検討した結果,本症例はHardyらのいうhypereosinophilic syndromeに該当するものと考えられた.
  • 山門 実, 多川 斉, 田中 茂, 町井 潔
    1975 年 64 巻 8 号 p. 816-820
    発行日: 1975/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Flavobacterium meningosepticumはときに新生児髄膜炎の原因菌として報告されるグラム陰性桿菌である.同菌による敗血症は希であり,とくに亜急性細菌性心内膜炎は, WerthamerとWeinerが1例報告したのみであり,本邦では報告をみない.著者らは同菌によると思われる亜急性細菌性心内膜炎を経験したので報告する.症例: 18才,女性.既往歴にリウマチ熱の罹患をみない.感冒様症状にて発症.弛張熱持続し,抗生剤療法に抵抗するため入院.弛張熱,心雑音, UCGによる弁vegetationあり,細菌性心内膜炎と診断した.抗生剤療法を行なうも効果なく死亡した.血液培養にて腸内細菌以外のグラム陰性桿菌が検出され,後に同菌はFlavobacterium meningosepticumと同定された.薬剤感受性試験では, minocyclin(〓), tetracyclin(+), chloramphenicol(+)であつた.剖検所見は細菌性心内膜炎に一致し,僧帽弁の壊死性変化と乳頭筋腱索の断裂,肺・腎の細菌性塞栓,敗血症性肝炎を認めた. Flavobacterium meningosepticumは本来弱毒菌であるが,宿主の感染防禦能の低下した状態や菌交代現象の結果として病原性を有し,院内感染の原因菌ともなることがある.
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