日本内科学会雑誌
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慢性関節リウマチ(RA)における細胞性免疫能血中抗体との関連において
山名 征三矢野 啓介遠迫 克英西谷 皓次三宅 晋大藤 真
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1976 年 65 巻 3 号 p. 238-244

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抄録

RAの細胞性免疫と血中抗体を多角的に検討し,本症の発症進展がいかなる機構の支配下にあるかにつき若干の考察を試みた, In vivoの指標として用いたPPDによる遅延型皮内反応は58例中11例のみ陽性で著明に低下していたが, DNCB皮膚テストでは58例中40例陽性でそのうち12例は過剰反応を示した. In vitroの指標としたヒツジ赤血球ロゼット形成性T-cellは44.3±15.7(対照50.6±13.6)と減少傾向を認めた.にもかかわらずT-cell mitogenであるPHAに対しては,若干の反応亢進を認めたことからT-ce11は機能的分化に応じて諸種の刺激に対する反応性を変化させると推定される.膜表面免疫グロブリンを指標としたB-cel1は35.9±20.8(対照24.6±9.8)で増加傾向を認めた.B-cellとRFは相関せず,血沈の亢進例にB-cel1の増加を認め炎症を反映すると考えられる.熱変性IgGと滑膜組織抽出物を抗原としたMIT, LITで遊走の抑制を認めRAがこれら抗原で感作されているとの成績を得た.熱変性IgGを抗原としたLITとRFとの間にも相関を認めなかつた.以上のことからRAに細胞性免疫が成立しているといえるがRFとの関連はいまだ明確ではない.

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