日本内科学会雑誌
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成人にみられたコクサッキーウイルスA2型による麻痺性ポリオ症候群の1例
木村 清延常田 育宏桐沢 俊夫本間 行彦大崎 饒村尾 誠
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1976 年 65 巻 6 号 p. 575-580

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抄録

麻痺性ポリオ症候群paralytic poliomyelitis syndromeは,その原因としてポリオウイルスが広く知られているが,他の腸管系ウイルスや,ムンプスウイルス,ヘルペスウイルスなどのウイルスによつても発症する.コクサッキーA群ウイルスによつて麻痺を呈する例は,比較的少なく,とくにA2型によると確定診断されたものは,本邦では報告がない.われわれは, 27才男性で,感冒様症状をもつて発症し,四肢の弛緩性麻痺および顔面神経,舌咽神経,迷走神経麻痺を呈し, 2カ月後には,ほぼ正常にまで回復した症例を経験した.原因にかんしては,血清学的にコクサッキーウイルスA2型に対する中和抗体価の有意の上昇を認め,さらに便,髄液中から同型ウイルスを同定し,コクサッキーウイルスA型によつて発症したものと診断した.

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