日本内科学会雑誌
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糖尿病に合併したgross hyperlipemiaとその成因にかんする検討
村勢 敏郎田中 邦美山田 昌夫横山 信治赤沼 安夫小坂 樹徳
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1977 年 66 巻 12 号 p. 1719-1725

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抄録

Gross hyperlipemiaを合併した5例の糖尿病患者について報告し,その成因にかんして検討した.高脂血症はtriglyceride (TG)の増加が主体であつて,血漿TG埴は平均3,400mg/dlにも及んだが,これは食事療法ないしは経口糖尿病剤との併用によつて比較的すみやかに改善された.これらの症例は糖尿病に合併する普通の型の高TG血症とも,またインスリン依存性の重症糖尿病患者にみられるdiabetic lipemiaとも臨床経過を異にする特異な高脂血症であることを考察した.高TG血症の成因としては, postheparin lipolytic activityの低下が著明であつたことから,組織におけるTGリパーゼ活性の低下に基づくTGの処理障害defective remova1がその主因と考えられた. postheparin血中のTGリパーゼについでは肝性TGリパーゼ分画が選択的に低下していることを認め,この肝性TGリパーゼについて病因との関連においてその生理的意義について考察を加えた.

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