日本内科学会雑誌
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脳硬塞における血液ヘマトクリット値の病因的意義
東儀 英夫山之内 博小川 真内山 伸治田渕 正康村上 元孝亀山 正邦
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1977 年 66 巻 3 号 p. 271-276

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抄録

連続剖検432例(年令: 60~92才),うち脳硬塞76例について,脳硬塞における血液ヘマトクリット値の病因的意義を検討し,次の結果を得た. 1)脳硬塞の頻度は,ヘマトクリット値が45%を越えると著しく増加する. 2)その増加の程度は,脳底部動脈の粥状硬化の高度な例ほど著しく,かつ高令者でより著しい傾向が認められた. 3)深部硬塞は皮質硬塞に比し,へマトクリット値の高値による頻度の増加がより著しい. 4)脳硬塞の予防という点からみて,老年者ではヘマトクリット値45%以下,高令者では40%以下に維持することが望ましい.以上から,血液へマトクリット値は脳硬塞の重要なrisk factorであり,とくに脳動脈硬化が高度の例,高令者でその重要性が増すと結論した.

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