日本内科学会雑誌
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自己免疫性溶血性貧血と慢性関節リウマチを合併した重症筋無力症
栗山 勝梅崎 博敏村上 俊一後藤 勝弥
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1977 年 66 巻 5 号 p. 541-546

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抄録

われわれは自己免疫機序が強く推定される25才,女性の重症筋無力症を経験した. (1)重症筋無力症に自己免疫性溶血性貧血,慢性関節リウマチが合併,とくに個体側の免疫能の異常が強く関与するといわれている自己免疫性溶血性貧血が合併したこと, (2)母親がLE細胞陽性, γ-グロブリン, Ig-G増加を示す定型的慢性関節リウマチであり遺伝的素因が推定されること, (3)血沈促進, RA因子,クームステスト,抗核抗体陽性, γ-グロブリン, Ig-G増加等の検査所見の異常. (4)ステロイド療法により臨床的にも重症筋無力症,自己免疫性溶血性貧血,慢性関節リウマチ,の軽快を,また血清学約にも免疫抑制効果を平行して得たこと,などから自己免疫機序が推定された.重症筋無力症に自己免疫性溶血性貧血が合併した例としては,文献的に世界で5例目,重症筋無力症,自己免疫性溶血性貧血,慢性関節リウマチの合併例としては2例目である.これら各疾患の合併頻度にかんしても文献的に考察を加えたが,重症筋無力症と慢性関節リウマチとの合併は従来言われているほど高頻度ではなくgeneral populationの頻度と変りはない.

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