日本内科学会雑誌
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Metoclopramide経口投与により乳汁分泌をおこした4症例を中心とした血中プロラクチンにかんする検討
山本 徹也大鶴 昇杉田 実宝来 善次松村 茂次郎宮井 潔大西 利夫熊原 雄一
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1977 年 66 巻 5 号 p. 547-551

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抄録

Metoclopramide (プリンペラン)にプロラクチン(PRL)分泌作用のあることが最近明らかにされ,本剤投与中に乳汁分泌をきたす可能性を示唆されていたが,筆者らはmetoclopramide投与中に乳汁分泌をきたした症例を4例経験した.そこでこれらの症例におけるPRL分泌について検討し,さらに健康人についてもmetoclopramideのPRL分泌に及ぼす影響について検討を加えた.その結果, metoclophramide投与中乳汁分泌をきたした症例の血中PRL値は2例において異常高値(220ng/ml, 100ng/ml)を示し,他の2例はほぼ正常範囲(25ng/ml以下)であつた.投与中止によりPRL値は低下し,乳汁分泌は3例においてすみやかに停止し,他の1例でも著減した.健康人にmetoclopramide 10mgを静注すると血中PRLは速やかに上昇し,その頂値は15分~30分にみられた.頂値はthyrotropin releasing hormone, 500μg静注した際と比較して同程度の値が得られた.経口投与でも血中PRLの著増が認められた.結語としてmetoclopramideの投与により乳汁分泌が認められることがあり,これはこの薬剤がヒトにおいて強力にPRL分泌をうながすためと思われる.

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