日本内科学会雑誌
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Sjögren症候群の肺病変にかんする臨床的研究
宮坂 信之吉沢 靖之原 義人西戸 孝昭奥田 正治
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1978 年 67 巻 2 号 p. 152-159

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抄録

Sjögren症候群(SjS)にみられる肺病変について自験61症例(sicca alone 39例, overlap 22例)を観察対象として臨床的検討を行なつた.胸部X線像上,異常陰影は25例, 41% (sicca alone l2例, overlap 13例)に認められた.これら25例の呼吸器症状は,労作時呼吸困難が5例,乾性咳漱が3例にみられ,また胸部聴診所見では,ヴェルクロ・ラ音が7例,湿性ラ音が1例に認められた.胸部異常陰影の性状は,粒状影および粒・網状影がそれぞれ32%を占め,次いで無気肺12%,スリガラス状影および斑状影おのおの8%,網状影および肺野血管影の減少おのおの4%であり,これら異常陰影の大部分は中~下肺野に認められた.呼吸機能では拘束型障害が18例中4例(22%)に認められ,動脈血ガス分析では低酸素血症,低炭酸ガス血症がそれぞれ16例中7例(44%)に認められ,いずれもびまん性の粒・網状影を呈した症例のみであつた.気管支鏡検査は4例に施行, 3例に気管支粘膜の乾燥化を認め,さらに経気管支的肺生検組織(3例)では間質のリンパ球浸潤および線維化が認められた.以上の観察成績より, SjSの肺病変には, 1)無気肺あるいは斑状影を呈し,呼吸機能障害を伴わない限局性,実質性の気管支,肺病変と, 2)粒・網状影ないしスリガラス状影を呈し,かつ拘束性呼吸機能障害と低酸素血症,低炭酸ガス血症を伴うびまん性,間質性肺病変の二つの病型を指摘しうるのではなかろうかと推察された.

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