日本内科学会雑誌
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左室拡張動態の力学的特性に関する研究
千田 彰一
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1978 年 67 巻 6 号 p. 591-600

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抄録

心臓は収縮・拡張なる一連の動作を通じて臓器としての機能を遂行するため,拡張期力学特性についての評価は心機能を評価する際に重要である.本研究では,心エコー法とカテ先端型圧トランスデューサーとの併用により, 25例の臨床例で左室圧-容積および応力-歪み関係を求めた.左室拡張特性を表す指標として,前者の関係から心室弾性特性指数Kvを,また後者の関係から心筋弾性特性指数Kmを提唱した.これらの指標の算出には,コンピュータベースの超音波画像情報処理システムを開発し,そのプログラムにより行なつた.ヒト拍動心における拡張期左室圧-容積関係および応力-歪み関係は,動物摘出心実験で示されたような拡張期全期を通じての単一なexponentialな関係にはなく,大きく五相に区分された.これらの時相のうち第4相において,両者の関係はそれそれ比較的exponentialに近い関係を示し,本時相では準静的な力学的取り扱いの可能性が示唆された.第4相で求めたKvおよびKmは,おのおの左室拡張特性を心室レベルおよび心筋レベルで定量的に評価すると考えられ, Kv, Km両値の相互関係を知つてかかる二面から解析を行なうことより,各種病態心における左室拡張動態を把握しうる.

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