126人の心臓弁膜症患者および53人の大動脈炎患者をHLA-A座とB座抗原についてタイピングを行ない, 225人の正常対照群と各抗原の頻度を比較検討した.なお患者群を全リウマチ性弁膜症(109人),全僧帽弁狭窄症(MS: 60人),女子MS (40人),男子MS (20人),全大動脈弁膜(AVD: 35人),リウマチAVD (26人),全僧帽弁閉鎖不全症(MR27人),リウマチ性MR (15人),大動脈炎症候群女子(43人),男子(10人)などに分類して同様の検討を行なつた.その結果,次の結論を得た.
1) リウマチ性心臓弁膜症ではその病型によりHLAとの相関を異にする.今回の成績から得られた有意の相関はMSとHLA-B7で,これは男子患者でより強い.
2) 大動脈炎症候群はHLA Bw 52と相関するが,この相関は女子患者に特異的なもののようであつた.