日本内科学会雑誌
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偽白血球増加現象を伴つた本態性クリオグロブリン血症の1例
太田 慎一橋本 康男長滝 重信小坂 樹徳
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1980 年 69 巻 9 号 p. 1114-1118

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抄録

32才の女性で,寒冷時紫斑および寒冷じんま疹を主症状として発症した本態性クリオグロブリン血症の1例である.原疾患は不明であるが,クリオグロブリン量はクリオクリットで5%,クリオグロブリンの性状はIgG-IgG複合体が疑われ,パイログロブリンの性質をもち, C3を含む.さらに偽白血球増加現象を伴い,この原因は37°C以下で析出したクリオグロブリンが自動血球計算機によつて算定されたためと判明した.さらに末梢血塗抹標本で顆粒球に空胞形成がみられたが,空胞中の物質がIgGであることが蛍光抗体法で証明された.顆粒球に対する自己抗体も見出され,末梢血中での顆粒球の破壊亢進も示唆された.以上,特異な現象を伴つた本態性クリオグロブリン血症について若干の検討を行ない,さらに文献的考察を行なつた.

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