日本内科学会雑誌
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Saccharated ferric oxideの長期経静脈投与によつて骨軟化症を合併した非特異性多発性小腸潰瘍症の2例
岡田 光男今村 健三郎渕上 忠彦尾前 照雄飯田 三雄名西 史夫村上 学大串 秀明八尾 恒良藤田 晃一小川 清
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1982 年 71 巻 11 号 p. 1566-1572

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抄録
非特異性多発性小腸潰瘍症の2名の女性患者が持続性の腸管出血による重篤な慢性の貧血のため, saccharated ferric oxide (SFOと略) (商品名Fesin)の経静脈投与をうけた.症例1ではSFO 80mg/日の連日静注をうけて約3カ月後から骨痛が出現し,症例2ではSFO 40mgの間歇的静注をうけて約9年後に骨痛が出現した.いずれも著明な低リン血症と肋骨の偽骨折が認められ,骨軟化症と診断された.症例1ではSFOの投与を週1回40mgに減量後,症例2ではSFOの投与を中止後,血清リン値の増加とともに骨痛は消失した.以上より, SFOが骨軟化症を惹起したと考えられた.
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