日本内科学会雑誌
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家族内発症をみた高安病の1症例
司馬 清麿矢島 途好沼野 藤江沼野 藤夫前澤 秀憲
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1983 年 72 巻 1 号 p. 76-82

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抄録

高安病の成因について疫学的事実により遺伝的要因が注目されている.現在わが国で報告されている家族内発現例は16家系になる.今回われわれは姪と伯母に発症した1例を経験した.姪は炎症反応が強く前面に出ており, CRP強陽性,血沈亢進および大動脈閉鎖不全を合併していたのに対し,伯母はむしろ炎症反応がはつきりせず,自覚症状に乏しかつた.両者は全く異なつた臨床病態を示していた.これは多くの家族内発現例が互いにきわめて相似した臨床経過,臨床病態を示すという認識からはずれるものであつた.又家族全員にHLA typingの検索を行なつた結果,両者のHLA-typingは異なつており,姪は母親よりAW24-BW52のhaplotypeを継承しており,伯母は日症と密接な関係があるとされているhaplotype (AW24-BW52-DW12)を有していないことを確認した.このことは我々に本症の発症に2コ以上の多遺伝子が関与し,又その臨床病態の形成や病勢に強く干渉していると想定させた.

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