日本内科学会雑誌
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骨髄の形質細胞の鉄蓄積像の病態に関する研究
実質性鉄過剰症との関連
青木 泰子中澤 正樹阿部 帥小宮 正文
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1985 年 74 巻 12 号 p. 1672-1681

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抄録

形質細胞に鉄の蓄積する病態は1938年に記載されて以来,最近まであまり注目されていない.筆者らは過去4年間に骨髄を採取した800例中43例の陽性例を発見した.陽性例は再生不良性貧血, sideroblastic anemia等鉄利用の制約された骨髄障害例,および急性白血病等の寛解導入療法後の経過に証明された.陽性例は骨髄のsideroblastosisを伴うものが多く,血清鉄飽和指数,血清ferritinの著明な高値を示すものが過半を占め,骨髄のマクロファージの高度なhemosiderosisは約半数にみられたに過ぎなかつた.正常骨髄の形質細胞にtransferrin receptorをモノクローナル抗体OKT9を用いて証明しえたので,これらを総合して,形質細胞の鉄蓄積像は実質性鉄過剰病態と考察した.

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