日本内科学会雑誌
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膜性腎症を併発した木村病の1例
木村 修今野 孝彦
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1985 年 74 巻 12 号 p. 1759-1762

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抄録

木村病は皮下に限局した好酸球性肉芽腫,掻痒性皮疹,末梢血好酸球増加,高IgE血症を臨床的特徴とする疾患と考えられているが,今回著者らは多臓器病変を呈した木村病を経験したので報告する.症例は57才,男性.全身倦怠感,両下腿皮疹,右耳介後部腫瘤を主訴として入院.尿蛋白陽性,末梢血で著明な好酸球増加, GOT, GPTの上昇,アルブミン減少, γ-グロブリン増加, IgE著増を認めた.右耳介後部腫瘤生検で,リンパ〓胞の増生,リンパ〓胞の中心には著明な好酸球浸潤を認め木村病と診断した.本邦において,木村病は200例を超えているが文献上,木村病と腎疾患合併は本症例を念めて7例のみであり, 5例は本症経過中に発生しており,木村病と腎疾患の関連を強く示唆する貴重な症例と思われた.

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