1986 年 75 巻 10 号 p. 1423-1428
症例は17才,男性. 10才頃から移動性の胸背部痛,時に関節痛を伴つた発熱発作が, 2カ月に1回その後10日に1回の頻度で不規則に出現した. 1回の発作は約5日間持続した.発作期に腹痛,皮疹は認めなかった.検査成績では発作期に白血球増加など炎症所見を認め,脳波は発作期と間歇的に異常を認めた.血中エチオコラノロンは正常.尿中カテコールアミンは発作との相関を認めず,レセルピンは有効でなかつた.以上より,本症例を家族性地中海熱型を呈する周期熱と診断し,さらに本邦における既報告3症例と比較検討した.本症例において,前駆期でのコルヒチン服用により発作が完全に抑制された事は,本症の発作発現機序を考える上で興味深い.