日本内科学会雑誌
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孤立性腎嚢胞による高レニン性高血圧症の1治験例
直海 晶二郎梅田 照久佐藤 辰男
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1986 年 75 巻 6 号 p. 767-771

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抄録

孤立性腎嚢胞が腎実質を圧排して高血圧を来すことは,比較的まれとされている.今回われわれは,孤立性腎嚢胞により高レニン性高血圧を呈した, 43才の男性例を経験したので報告する.本例は,初診時190/110mmHgの高血圧があり,入院後の各種画像診断法により,右腎上極の孤立性腎嚢胞を認めた.また,末梢血の血漿レニン活性は3.9~4.4ng/ml/hと高く,左右の腎静脈血のレニン活性は,それぞれ3.4および8.7ng/ml/hで,患側と健側の比は2.6と有意差がみられたため,腎嚢胞の切除に踏み切つた.術後血圧は, 120~140/80~100mmHg前後に低下し,末梢血レニン活性も1.5~1.9ng/ml/hと正常化した.

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