日本内科学会雑誌
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Thromboxane A2に対する血小板反応障害を伴う真性多血症の1例
吉岡 伸夫土肥 和紘榎本 康博熊田 光雄藤井 謙裕籠島 忠石川 兵衞杉山 建生金地 研二大熊 稔
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1987 年 76 巻 3 号 p. 404-408

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抄録

著明な皮下出血を主訴にした真性多血症の54才,男性において,きわめてまれな血小板機能不全を認めたので報告する.一般凝血学的検査に異常がなく,血小板機能検査を実施したところ, 1)血小板増加があり, 2)各種の血小板凝集惹起物質による血小板凝集や放出反応が不良で, 3)外因性thromboxane A2 (TXA2)などに対する凝集反応もきわめて低下していたが, 4)患者血小板のADP, ATP含量およびarachidonic acid代謝は正常で,患者血小板由来のTXA2は健常者血小板を正常に凝集させた.以上のことから,患者血小板における放出機構に異常のあることが明らかとなり, TXA2受容体の障害あるいはカルシウム移動障害が示唆された.真性多血症でのこの様な報告はなく,きわめてまれな症例と考えられた.

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