1987 年 76 巻 7 号 p. 1064-1066
Hemishorea-hemiballismを呈した尾状核小梗塞の1例を報告する.症例は83才女性で,高血圧と慢性関節リウマチの既往があり,急性発症の左側のhemichorea-hemiballismを主訴として入院した. X線CTでは明確な病変は確認できなかったが, NMR-CT (long spin echo法)にて,尾状核を中心とする高信号域が認められ,尾状核小梗塞と考えられた.尾状核小梗塞のみにより, hemichorea-hemiballismを呈した例の報告は極めて少なぐ,本例はhemichorea-hemiballismの責任病巣を考える上で貴重な症例であるため報告した. hemichorea-hemiballismの発症機序に関する考察を試み, ballistic movementsがLuys体以外の病変でも生じ得ることを強調した.