日本内科学会雑誌
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経過中rhabdomyolysisを発症し,急性腎不全をきたした悪性症侯群の1例
大地 信彰佐内 透小林 和夫名西 史夫布井 清秀小野 山薫藤島 正敏
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1987 年 76 巻 8 号 p. 1264-1268

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抄録

経過中rhabdomyolysisを発症し,急性腎不全をきたした悪性症候群の1例を報告した.症例は精神分裂病に対して向精神薬にて長期治療中の48才,男性.胃潰瘍に対して,抗潰瘍薬(H2受容体阻害薬)を投与したところ3週後に下肢を中心とした筋強直と黒褐色尿が出現し,乏尿が持続したため当科に転院した.入院時, BUN, creatinine, CPK,血中ミオグロブリン,尿中ミオグロブリンの異常高値を認め, rhabdomyolysisによる急性腎不全と診断した.臨床経過からcalpipramine系の向精神薬に抗潰瘍薬のH2受容体阻害薬を併用したことが本症発症の誘因と考えられた.向精神薬で治療中の患者に対するH2受容体作動性抗潰瘍薬の使用には十分注意すべきである.

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