1988 年 77 巻 1 号 p. 5-9
本態性高血圧症患者50例を対象に赤血球およびリンパ球の細胞内Na濃度を,減塩食および増塩食摂取下に測定し,両者の変化の関係および血圧変化との関係を検討した.血圧と赤血球およびリンパ球内Na濃度は,増塩により有意に増加した.赤血球とリンパ球の細胞内Na濃度は減塩期,増塩期とも相関しなかったが,増塩による両者の変化率は有意の正相関を示した.平均血圧の変化率は赤血球およびリンパ球の細胞内Na濃度変化率とおのおの有意の正相関を示した.以上より,増塩による細胞内Na濃度変化は異なる細胞においても共通であること,および本態性高血圧症患者の食塩感受性には細胞内Na濃度変化が関与していることが示唆された.