1988 年 77 巻 4 号 p. 558-563
Prader-Willi症候群の特徴を有しながら, 10才時より月経不順を認めた1例を報告する.症例は21才,女性.乳児期の筋緊張低下,低身長,肥満,知能低下および両側耳介の低位,高ロ蓋,小肢端症などの多彩な小奇型を認めた.しかし, 10才時から不順な月経を示し,乳房の発達は良好で,外性器も正常であった.検査成績では,軽度の高脂血症を認めた.また, 75gブドウ糖負荷試験時,血糖は正常だがインスリンが過大反応し,血漿prolactinがTRHに過大反応した.また,血漿LHとFSHがLH-RHに過大反応した.さらに軽度の黄体機能不全を認めた.本例はPrader-Willi症候群と類似の形態異常を有し,視床下部の異常により思春期早発をきたした極めてまれな例である.