日本内科学会雑誌
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Shy-Drager症候群にみられた“食事性低血圧・失神”とそのL-DOPSによる治療
長谷川 康博古池 保雄松岡 幸彦高橋 昭
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1989 年 78 巻 7 号 p. 939-943

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抄録

Shy-Drager症候群2例での“食事性低血圧”の多様性とL-threo-3, 4-dihydroxyphenylserine (L-DOPS)経口投与の有効性を報告した. 60才男性は食後1時間位での起立性失神および腹部熱感を主訴としたが「後期型」,一方, 58才女性は食事中すでに著しく血圧が低下して失神をきたした「早期型」. “食事性低血圧”の背景因子として交感神経障害が示唆される. L-DOPS 200から600mg/日の内服治療により“食事性低血圧”が軽減して失神が減少し,後者では特に食前投与の有効性が高かった.個々の症例においてL-DOPSの投与法および食後血圧最低時期での起立,歩行の回避など“食事性低血圧”の病態にあった適切な治療が求められる.

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