1991 年 80 巻 6 号 p. 941-946
イオンチャネルは細胞内外のイオン濃度差を利用し,細胞膜を通してイオンを移動させる働きを有する.イオンチャネルの開閉により細胞膜電位が変化して細胞の興奮状態が変り,また細胞内のCa2+などのイオン濃度が変化する.イオンチャネルは電位依存性,イオン選択性,アゴニストの必要性などから分類される.またレセプターとイオンチャネルが同一構造内に含まれる,レセプター-チャネル複合体も存在する.最近の研究の進歩から,イオンチャネルは細胞の情報伝達機構に重要な役割を果たしていることが明らかになっており,またイオンチャネルの一次構造も次々に決定されてきている.さらに最近いくつかの疾患にイオンチャネルが関与していることが報告されており,今後もこの分野での発展が期待される.