日本内科学会雑誌
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内皮細胞由来血管収縮,弛緩因子
藤田 敏郎安東 克之高橋 克敏
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1991 年 80 巻 8 号 p. 1304-1309

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抄録
血管内皮細胞は単に形態学的に血管内壁を被覆しているだけでなく,多用な機能を持っている。近年の研究から内皮細胞において種々の血管作動物質が産生分泌されていることが明らかになってきた.そして,生体における循環調節機構が内皮耀胞機能の面から見直されつつある.内皮依存性の血管弛緩を生じる物質としてはプロスタサイクリン,内皮細胞由来弛緩因子(EDRF),内皮細胞由来過分極困子(EDHF)などがある.血管収縮を生じる物質は内皮依存性血管収縮因子(EDCF)と総称され,アンギオテンシンII,トロンボキサンA2などの血管収縮性プロスタグランディン,エンドセリンなどが含まれる. EDRFは一酸化窒素(NO)関連物質であると考えられており,これは内皮細胞のみならず,神経組織,副腎クロマフィン細胞,そして血管平滑筋自体でも産生され,また多様な作用を有しているという.さらに,これら内皮細胞の血管作動物質はその産生分泌において相互に関係していることがわかっている.高血圧や狭心症,動脈硬化などの血管疾患の成因や病態をめぐって内皮細胞を中心に新しい展開がなされつつある.
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