日本内科学会雑誌
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中枢神経系の循環制御機構
三浦 光彦
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1992 年 81 巻 6 号 p. 925-929

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抄録

この分野の研究の最近の収穫は,第1に循環中枢神経網で使われる主要な神経伝達物質はglutamateとGABAである事が推定され,さらにこれら伝達物質のreceptor subtype agonistないしantagonistを駆使して,受容体の性質を精査しようとする試みが始まった事である.第2は網様体腹外側浅在野C1領域血管運動ニューロンの研究から血圧を維持するための連続的な交感神経性ドライブの発現機構が明らかになりつつある事である.特筆すべきは歩調とりニューロンの存在とそこから交感神経節前ニューロンへの送信機構の解明が開始された事である.第3は網様体腹外側浅在野C1領域血管運動ニューロンのglutamate receptor subtype agonistに対する感受性がSHRラットで異常に高い事が判明し,これが高血圧の病因の一つとして挙げられた事である.また,当該血管運動ニュ-ロンを活性化する上位中枢のglutamate作動性ニューロンの広範囲に亙る分布が推定された事などである.

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