日本内科学会雑誌
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血液疾患におけるクロナリティー検索の意義
唐沢 正光
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1995 年 84 巻 11 号 p. 1934-1938

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抄録

従来よりX染色体遺伝子の不活化現象を利用しクローン性の判定が行われてきた. FialkowらのG6PD (glucose-6-phosphate dehydrogenase)変異をもちいた方法がそれであり,種々の疾患においてクローン性を証明し,病態の理解に多大の貢献をしている.しかし,特定の人種以外ではヘテロ接合の頻度が極めて低く,検討対象が限られるという大きな制約があった.近年Vogelsteinらにより開発されたX染色体遺伝子のRFLP(restriction fragment length polymorphism)とDNAメチル化を組み合わせた方法により検討可能な対象が飛躍的に拡大した.またクローン性の検討に応用可能なX染色体遺伝子数も増加し, PCR (polymerase chain reaction)法をもちいた方法の導入により微量の検体の検索も可能となっている.クローン性の検討により概念に修正を要したり,新たな側面が判明した造血器疾患も少なくない.

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