日本内科学会雑誌
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胸腔鏡の診断と治療への応用
飛田 渉
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1995 年 84 巻 8 号 p. 1338-1343

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抄録

左右肺の分離換気による全身麻酔法,軟性胸腔鏡,手術器具およびビデオモニタリング胸腔鏡システムの開発により非侵襲的に胸腔内疾患の診断や治療が可能となりこれまでリスクが高く困難とされていた新生児,小児,高齢者および重症呼吸器疾患患者の胸腔内疾患へのアプローチが可能となった.診断的には特に間質性肺炎などびまん性肺疾患の肺生検に威力を発揮する.その他,胸膜疾患や胸水貯留の原因の検討,縦隔リンパ節生検,肺癌や食道癌のTNM分類さらには診断的肺腫瘍切除に応用される.治療的には自然気胸にたいするレーザー治療の際汎用されているが,最近では肺気腫にたいするレーザー治療に用いられつつある.特にブラを伴う肺気腫の治療に有用と言える.その他,肺腫瘍の切除,胸膜剥離,胸膜癒着,縦隔腫瘍切除,胸部交感神経切除,心膜開窓術および食道腫瘍切除等にも適応が拡大しつつある.胸腔鏡は今後益々期待される手段といえる.

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