日本内科学会雑誌
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3.狂牛病
吉良 潤一
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1997 年 86 巻 11 号 p. 2028-2032

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抄録

狂牛病は正しくは牛海綿状脳症bovine spongiform encephalopathy (BSE)といい,プリオン病の一型である. 1985年以降英国で多発し, 14万頭を超えるBSEがみつかっている.これは英国では羊にスクレーピーというプリオン病が以前から蔓延しているが,その羊の内臓や脳,骨などを蛋白性飼料として牛に用いたため,スクレーピーが種の壁を超えて牛に伝播したと考えられている.しかも, 1994年以降英国では10例を超える若年発症のCreutzfeldt-Jakob病(CJD)患者がみつかっている.これらの患者は10~30歳代の発症で通常より経過が長く,脳波上も病理学的所見も孤発性のCJDとは異なっており,新変異型CJDと呼ばれている.食物連鎖を通じてBSEがヒトに伝播し新変異型CJDとなった可能性が示唆されている.

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