1997 年 86 巻 5 号 p. 843-845
症例は84歳,男性.起立性低面圧症を認め,安静臥位時のノルアドレナリン値は正常で,起立時に有意な上昇はなかつた.心血管反射をみる自律神経機能検査にて,交感神経節後線維の障害が証明された.他に体性神経症状を認めず,原因が明らかでないことより体性神経症状を伴わない一次性起立性低血圧症と診断した. 123I-MIBG心筋シンチを用い,心臓交感神経機能の評価を行つたところ,プラナー像,正面像にて,初期像,遅延像ともに心筋への著明な集積低下を認め,交感神経節後線維障害のみを来す疾患における心臓交感神経障害を画像的に示唆するものと思われた.