日本内科学会雑誌
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2.橋本病の成因と病態
小林 功
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1997 年 86 巻 7 号 p. 1136-1141

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抄録

橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれ,特有な甲状腺組織像と血中に甲状腺自己抗体が証明される,代表的な臓器特異性自己免疫疾患である.その疾患頻度は潜在性自己免疫性甲状腺炎を入れると,実に成人女性10人に1人の割合になる.橋本病の大部分の症例の甲状腺機能は正常範囲に留まるが,一部の症例は原発性甲状腺機能低下症に陥り,特有な臨床症状が出現する.近年,橋本病を背景として出産後の甲状腺機能異常をはじめ,多彩な臨床型が存在することが明らかとなった.しかし,国際的に認知された橋本病の分類はまだ確立されていない.また,現在でも橋本病の成因は幾多の学説が提唱されたが,なお不明な点もある.一方,特発性粘液水腫を除いて甲状腺腫と臨床症状に注意し,血中甲状腺ホルモンとTSHの組合せ検査と甲状腺自己抗体の存在を確認できれば,その診断は比較的容易である.

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