1998 年 87 巻 4 号 p. 738-740
症例は56歳,男性.刺身摂取後,腹痛・発熱・下痢を呈しショック状態となった.便・血液培養にてVibrio vulnificus (以後V. vul.と略す)が検出され,同菌による敗血症と考えられた.後日施行した大腸内視鏡で,上行結腸潰瘍と回腸末端・回盲部の浮腫を認めた.症状は早期の抗生物質投与で改善した. V. vul.感染症で,大腸潰瘍の確認例の報告はこれまでなく,また原発性敗血症型は便培養陽性例は希であり,救命し得た例が少ないことから,留意すべきと考え報告した.