1999 年 88 巻 4 号 p. 591-596
自己免疫性肝炎の治療の目標は肝組織所見を改善し,肝硬変症への進展を阻止することである.治療の第一選択薬は副腎皮質ホルモンであるが,我が国の自己免疫性肝炎が諸外国に比べ高齢の女性に多く発症するため,副作用が高率に出現し,治療の継続が困難となり,患者の生命予後を不良としてきた.個々の症例で副腎皮質ホルモンの投与量をいかに減量し,維持療法を継続出来るかが本症の治療において重要である.最近,免疫抑制剤と異なり,副作用の少ないウルソデオキシコール酸が本症の治療に用いられ,その有効性が認められつつある.