2021 年 54 巻 3 号 p. 123-129
血液透析患者90名に対し,下肢末梢動脈疾患(PAD)のスクリーニング検査として皮膚灌流圧(SPP)測定を行い,測定時期と測定部位の違いによる検査精度を比較した.測定部位は足背部および足底部とし,測定時期は透析前,透析後半(透析終了20分前)とした.各部位ともSPP値は透析後半に有意に低下した.測定部位の違いでは足底部が足背部に比し高値を示した.SPPのカットオフ値を50 mmHgとした場合,PADの検出率は足背部では透析前67.3%,透析後半77.6%,足底部では透析前32.7%,透析後半55.1%であった.受信者動作特性(ROC)分析を用い測定時期の違いによる検査精度を比較したところ,各部位ともカットオフ値は透析前64 mmHg,透析後半54 mmHgであった.透析中にSPPによるPADのスクリーニングを行う場合,測定時期の違いにより適したカットオフ値を設定することが重要である.