NK (natural Killer)細胞とT細胞は前駆細胞が共通で,成熟細胞になったあとも表面マーカーや機能などの点でよく似ている. NK細胞の腫瘍には成熟NK細胞に由来するものと前駆細胞に由来するものとがあり,白血病や悪性リンパ腫の臨床像をとる. NK/T細胞性腫瘍とはNK細胞由来かT細胞由来かがはっきりしないときの総称で,決してNK/T細胞という一種類の細胞があるわけではない.生検標本をすべてホルマリンに浸してしまうと, T細胞レセプター遺伝子解析や表面マーカーのフローサイトメーター検査は行えなくなるために,腫瘍細胞の系列を決められないということが起きる.このようなときにNK/T細胞性腫瘍という言葉を用いるのは便利ではあるが,ここで診断が終わってしまっては本当の性状はわからない.鼻腔のリンパ腫ではNK細胞系のほうがT細胞系よりも予後が悪いという報告があることからも,腫瘍細胞の性状をはっきりさせるように努力ずべであろう.