日本内科学会雑誌
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ステロイド剤の新しい考え方
基礎と臨床
大島 久二
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2000 年 89 巻 2 号 p. 374-380

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抄録

臨床上多くの難治性疾患,病態に対する治療の切り札としての薬剤がステロイド剤である.ステロイドが結合する受容体は,リガンド依存性転写因子として,この10年,飛躍的な基礎研究の進歩が見られた.さらにステロイドの主作用としての抗炎症・免疫抑制作用の解明も進んできており,現在ステロイドは多くの作用点を有し,多角的に臨床効果をもたらすと考える.一方,ステロイドの臨床的使用法も少しずつ改良され,慢性関節リウマチに対する少量ステロイド併用療法も見直されつつある.さらにステロイドの副作用の予防・治療も骨粗鬆症を中心として確立されつつある.未だ副作用のないステロイド剤は開発されていないが,基礎的知見と臨床効果の接点から,新たな治療法・治療薬剤開発がされつつある.

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