日本内科学会雑誌
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89 巻, 2 号
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  • 竹下 彰
    2000 年 89 巻 2 号 p. 207-208
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 田中 平三, 吉池 信男, 横山 徹爾, 小久保 喜弘, 松村 康弘, 伊達 ちぐさ
    2000 年 89 巻 2 号 p. 209-218
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    脂肪摂取量・血清コレステロール(CH)の増加,エネルギー消費量の減少・肥満の増加にもかかわらず,虚血性心疾患年齢調整死亡率は増加していない.現在の好発年齢層が,若い時(潜伏期間中)には,あまりにも脂肪摂取量が低く,労作強度が強く,労働時間が長かったからかもしれない.日本人では, CHと心筋梗塞との関連は弱く,血圧,喫煙との関連は強いので, CH増加は虚血性心疾患増加に大きくは寄与せず,血圧,喫煙率の低下の方が虚血性心疾患減少に寄与したとも考えられる.しかし,高度経済成長時代後半以降に生まれた世代では,将来,虚血性心疾患の増加する可能性がある.
  • 伊倉 義弘, 上田 真喜子
    2000 年 89 巻 2 号 p. 219-223
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    冠動脈プラークの形成・進展には,増殖因子や酸化LDL等の諸因子が関与し,プラーク進展による内腔狭窄は虚血性心疾患をもたらす.不安定プラークは破裂,びらんといったプロセスにより急性冠動脈症候群発症に強く結びつく.
    冠動脈インターベンション後再狭窄では新生内膜増殖が重要な役割を果たす.新生内膜は冠動脈内控を物理的に狭窄させるのみならず,血管作動性物質の働きを介して,機能的にも血管径縮小を誘導すると考えられる.
  • 江頭 健輔
    2000 年 89 巻 2 号 p. 224-230
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血管内皮細胞は血管壁の収縮弛緩,血液細胞との相互作用,構築の異常などを司る重要な内分泌器官と認識されている.一酸化窒素(NO)は重要な内皮由来活性物質である.高コレステロール血症,高血圧,糖尿病,喫煙,加齢,等による内皮細胞機能障害は内皮NO産生或いは活性低下をもたらし,血管収縮性の亢進,血小板凝集能・血栓性の増加,血管構築の異常を引き起こす.コレステロール低下療法などによる危険因子のコントロールによって内皮機能は改善する.したがって,内皮細胞機能異常は動脈硬化の発生過程と密接な関わりを持つと考えられる.血管内皮は血管病治療の新たな標的である.
  • 土橋 和文, 長谷 守, 笹尾 寿貴
    2000 年 89 巻 2 号 p. 231-236
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    インスリン抵抗性は,高血圧・肥満・糖尿病・脂質代謝異常などの既知の冠危険因子および血小板凝集・凝固能,血管内皮機能などと関連することに加え,直接的に冠動脈疾患の発症・進展に関与する.また,多くの循環器用薬がインスリン抵抗性に影響を及ぼすことが知られる.冠動脈疾患の一次・二次予防における意義については今後の検討課題であるが,周知の上,実地診療においても肝要となる.
  • 再灌流療法,無症候性心筋虚血に関して
    清水 博, 斉藤 崇
    2000 年 89 巻 2 号 p. 237-245
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞の急性期治療として再灌流療法が確立された時代においても,その早期診断,再灌流療法の効果判定,心筋viability評価などにおける心電図の担う役割は大きい.一般に再灌流時には胸痛の軽減,心電図上ST上昇の改善,再灌流不整脈の出現をみる他,異常Q波の早期消失をみることもある.しかし,見落としやすい心筋梗塞や,類似した心電図変化には注意を要する.また,無症候性心筋虚血は心臓性突然死や心筋梗塞の発症との関達性があり,注目されている.
  • 西村 恒彦
    2000 年 89 巻 2 号 p. 246-250
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    201Tl (タリウム)心筋シンチグラフィによる心筋虚血の検出および心筋viability評価が虚血性心疾患の核医学診断法として汎用されている.最近, 99mTc標識心筋血流製剤による心筋灌流と心機能の同時評価や123I-BMIPPによる心筋代謝および123I-MIBGによる心筋交感神経機能の画像化が可能になってきた.また, 18F-FDG心筋PETに代わり, SPECT装置を用いて18F-FDG画像を得ることが可能になりつつある.心臓核医学検査は各手法の特徴を生かして臨床的に活用することが望ましい.
  • 三神 大世, 山田 聡, 北畠 顕
    2000 年 89 巻 2 号 p. 251-258
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患における従来の超音波診断は心筋梗塞の壁運動異常や合併症の評価を主体としたが,近年,その応用範囲は飛躍的に拡大した.ドブタミン負荷エコー法は,冠狭窄による一過性虚血と心筋生存能の評価法として,臨床の現場に根をおろした.また,コントラストエコー法による心筋微小循環の画像化は,造影剤や装置の開発に支えられ,その将来性が期待される.ハーモニックイメージングは,造影剤の選択的描出に加え,通常画像の画質をも改善し,壁運動評価を容易にした.
  • 小和瀬 桂子, 星野 洋一, 倉林 正彦, 永井 良三
    2000 年 89 巻 2 号 p. 259-265
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の診断には,病歴,理学所見,生理機能検査,画像,そして血液生化学的検査を用いて多角的に検討することが重要である.近年の研究の発展によって,日常検査で簡単かつ正確な診断ができる生化学検査が確立されてきた.急性心筋梗塞に対する血清診断は,心筋壊死の有無と壊死量の推定が主要な目的である.心筋壊死を迅速に,より特異的に捉えるマーカーが必要とされる.現在までに確立されてきた多くのマーカーの特徴をよく理解し,目的に応じて使い分けることにより,より正確な病態把握が可能になる.
  • 深見 健一
    2000 年 89 巻 2 号 p. 266-273
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    狭心症の治療のうち,虚血対策の進歩には目覚しいものがある.特に,血行再建法には種々の新技術が開発されているが,その運用にあたっては,虚血改善のみならず,長期予後を考えた適応決定が必要である.また,症状のみならず,無症候性心筋虚血への対策,さらには,病態の背景となっている冠動脈硬化症の進展防止と,急性冠症候群の発症機序とされる粥状硬化病変の安定化などを視野に入れた包括的治療対策が,本症の予後を改善する上で重要である.
  • 野々木 宏
    2000 年 89 巻 2 号 p. 274-279
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    不安定狭心症の短期的な治療目的は病状の安定化による心筋梗塞発症と心臓死の予防であり,薬物治療の終点を見極め治療抵抗性の場合には早急に侵襲的治療法の適用を検討する必要がある.現在の薬物治療では約1/4が治療抵抗性であり,低分子ヘパリン,選択的抗トロンビン薬, IIb/IIIa拮抗薬などの新しい抗血栓薬による不安定狭心症の病状の安定化が期待される.またステントを含めた緊急カテーテル治療の成績は良好となってきたため,早期に侵襲的治療が必要な高リスク群の選定が重要と考えられる.
  • 住吉 徹哉
    2000 年 89 巻 2 号 p. 280-286
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    冠動脈疾患の治療に第3の選択肢を提供した冠動脈インターベンションは,器具や技術の飛躍的な進歩もあり適応となる対象は大幅に拡大され治療成績も向上した.施行症例数も冠動脈バイパス術をはるかに凌いで侵襲的治療の主軸を成している.しかし減少したとはいえ依然高率な再狭窄の発生などまだ課題は残されている.現時点では各治療技術の限界を認識したうえで長期予後をも視野においた適切な治療法の選択が必要である.
  • 松田 健一, 山口 徹
    2000 年 89 巻 2 号 p. 287-292
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の治療の基本は虚血心筋の救済であり,その意味で早期診断,早期治療開始がポイントである.閉塞した梗塞責任血管に対する再灌流冶療が最も有効である点は変わらないが,薬理学的な血栓溶解療法より治療成績に勝る経皮的冠動脈形成術(PTCA)が普及し,ステント留置が加わったことにより治療成績は一段と向上した.また血栓溶解療法とPTCA,ステントとの併用治療も成績を向上させることが示され,更に早期の治療開始が可能となった.血小板GPIIb/IIIa受容体阻害薬の併用は急性期のみならず中~長期予後も改善する可能性が示され,我が国での今後の臨床導入が注目される.
  • 高橋 将文, 島田 和幸
    2000 年 89 巻 2 号 p. 293-297
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    人口の高齢化に伴って虚血性心疾患における高齢者の占める割合も増加している.高齢者の虚血性心疾患の治療法は基本的には若中年者と同様であるが,その冠動脈病変は高度かつびまん性であり,さらには腎機能を含めた全身臓器の代謝の低下や糖尿病,脳血管疾患などの合併疾患を有することも多いことから,薬物療法および近年普及してきている心血管インターベンションや冠動脈バイパス術施行の際には十分な注意と患者個々における適応の評価が重要である.
  • 三田村 秀雄
    2000 年 89 巻 2 号 p. 298-303
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞により4割弱の症例が入院前に突然死をきたし,入院しえた例でも3~5%が心室細動, 1~2%が心室頻拍を合併する. 48時間以内に発生した心室細動は長期予後に影響を残さないが,それ以後に発生した心室細動や全ての心室頻拍は予後不良を示唆する.これらの致死性不整脈に対して急性期はリドカイン,慢性期にはアミオダロンなどが選択されるほか, β遮断薬やACE阻害薬,埋込み型除細動装置が突然死の回避に役立つ.
  • 松崎 益徳, 藤井 崇史
    2000 年 89 巻 2 号 p. 304-309
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞の再発予防のためには冠危険因子への介入が必要不可欠であり,薬物療法としてはHMG-CoA還元酵素阻害薬による高脂血症の治療の他に糖尿病や高血圧のコントロールが重要であり,それらの治療による再梗塞の予防効果が報告されている.さらに,現在心筋梗塞発症の予防効果が証明されている心血管薬(β遮断薬,抗血小板薬および経口抗凝固薬,カルシウム拮抗薬など)はその適応や副作用に十分注意しながらうまく併用することで心筋梗塞をある程度は予防することが可能である.
  • 伊藤 信吾, 坂田 隆夫, 井上 博和, 並木 温, 中村 正人, 鈴木 真事, 杉 薫, 平井 寛則, 山口 徹, 田中 洋一
    2000 年 89 巻 2 号 p. 338-340
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.約2年前より労作時の胸部圧迫感が出現.徐々に症状が頻回となり,入院した.心電図では虚血性変化は認めなかった.心エコー図上,左室壁運動異常はなく,右房内に可動性のある腫瘍像を認めた. CT, DSAでは,肝の多発性腫瘍が下大静脈を経て,右房へと連続性に進展していた.冠動脈造影では有意の狭窄を認めず,今回認められた狭心症様症状は,原発性肝細胞癌の右房内腔閉塞によるものと考えられた.
  • 恒成 徹, 小澤 邦顕, 入海 健一, 余 美慧, 藤田 博文, 上坂 邦夫
    2000 年 89 巻 2 号 p. 341-343
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は49歳男性.大動脈弁閉鎖不全,高血圧症にて当院通院中腹痛が出現し精査入院.腹腔内出血の診断で開腹手術を行ったところ,腸間膜に腫瘤を認め,組織学的には回腸動脈瘤であった.皮膚生検でも真皮の膠原線維の断裂が見られた.身体的に皮膚の過伸展,関節の過可動性があり,大動脈弁閉鎖不全の存在とも合わせEhlers-Danlos症候群(EDS) IV型と診断した.回腸動脈瘤の破裂を来した報告はみられないが,若年者の動脈瘤破裂などでは, EDSIV型も鑑別すべき疾患のひとつと思われる.皮膚,関節の所見が著明でない症例が多く,注意が必要である.
  • 田中 由香, 石井 一慶, 中村 文彦, 林 孝昌, 沢田 仁, 大野 陽一郎, 加地 紀子, 武光 哲志, 関根 隆夫
    2000 年 89 巻 2 号 p. 344-346
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は椎茸栽培を職業とする43歳男性.急性骨髄性白血病(AML, M2)にて寛解導入療法施行中,右手背に膿痂疹が出現し,壊死,潰瘍化した.膿の培養よりFusariumが検出された. amphotericin B (AMPH)の持続点滴と,デブリードマン等の外科的処置にて治癒した.その後同種骨髄移植を施行し,現在, AMLの再発も認めていない.抗癌剤治療による好中球減少時には播種性Fusarium感染症に関して注意が必要と思われた.
  • 鈴島 仁, 鶴崎 朋子, 川口 祐司, 松下 郁雄, 沢田 知宏, 河野 正一郎, 西村 弘道
    2000 年 89 巻 2 号 p. 347-349
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は47歳女性. 1996年11月発症の急性骨髄性白血病(AML). 1回の化学療法で完全寛解(CR)となり,以後4回の化学療法後もCRを維持していたが1997年12月の末梢血Wilms腫瘍遺伝子(WT1)発現量にわずかな増加が認められ,その後徐々に増加傾向を示し9カ月後に血液学的に再発した.サンプル採取が容易で確実な末梢血中WT1遺伝子発現定量はAMLの再発予知に有用と考えられた.
  • 久下 隆, 坂本 正洋, 野見山 仁志, 児山 紀子, 三笠 桂一, 成田 亘啓
    2000 年 89 巻 2 号 p. 350-352
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    68歳男性.眼瞼下垂,複視,嚥下困難で発症,その後四肢脱力感を伴うようになった.胸部CTで右肺門と縦隔とに腫瘤影がみられ気管支鏡で肺小細胞癌と診断した.誘発筋電図ではwaxingがみられ,アセチルコリンレセプター抗体陰性,テンシロンテスト陰性,抗P/Q型VGCC抗体陽性で肺小細胞癌に合併したLambert-Eaton myasthenic syndromeと確診した.抗癌化学療法で腫瘍は著明に縮小し臨床症状の改善をみたが,その後脳転移が出現し呼吸器感染症で死亡した.
  • 上田 龍三
    2000 年 89 巻 2 号 p. 353-360
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性骨髄性白血病(CML)は予期することの出来ない病状の急性増悪をきたす致死的疾患であり,その治療は抗癌剤の投与や放射線照射により,末梢血細胞数の正常化に努めることに長年終始してきたが,その臨床効果にはほとんどみるべき進展はなかった.近年の細胞分子生物学はCML発生の分子機序を明らかとし,治療法においても,薬物療法としてはハイドキシウレアやインターフェロンの導入,更に,至適なドナーの存在する症例では約50%に長期生存が得られ,造血幹細胞移植が第一選択肢となっている.移植を受けた患者やインターフェロン療法の著効例においてはPh染色体陽性細胞が体内から全く消失してしまい,真の治癒が目指せる疾患と治療概念が大きく変貌している.現在はCML患者に対する治療に関しては,症例毎に最適な治療法選択のあるべきフローチャートの作成が内外で整備されつつある.現時点におけるCMLの標準療法を紹介するとともに,今後,分子標的療法の治療モデルとして増々研究が進展していくと期待される生物学的背景を解説する.
  • 宮地 幸隆, 一城 貴政, 山本 奈津子
    2000 年 89 巻 2 号 p. 361-367
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    内分泌撹乱化学物質は“動物の生体内に取り込まれた場合に,生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質”と定義される.生殖腺の正常な性分化・発達には,多くの遺伝子とホルモンが適切な量だけ順序正しく作用することが明らかになり,微量といえども胎児や新生児・乳児の体内に忍び込んだ内分泌撹乱化学物質が生殖腺の正常な性分化・発達を乱し,その影響は生後何年もたってから予想もされない症状として現れてくることが報告された. Diethylstilbestrol,ノニルフェノール,ビスフェノールAなどの様にエストロゲンレセプターに結合しエストロゲン様作用を示す物質が多いが, DDTの代謝物DDEのようにアンドロゲンレセプターに結合しアンドロゲン作用を抑える内分泌撹乱化学物質もあり,これらは生殖腺の正常な性分化・発達に及ぼすエストロゲンやアンドロゲンの正常な作用を乱すことになる.
  • 菅 信一
    2000 年 89 巻 2 号 p. 368-373
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    MRIの最近の進歩において,臨床的有用性が高いものに,拡散強調画像(DWI, diffusion weighted image)がある.実験的脳梗塞例においては,脳梗塞作成後1時間以内に,拡散強調画像において異常を捕らえることが出来ている.高速撮像法の一つであるエコープラナー法が,臨床MRI装置に装備されるようになり,拡散強調画像を容易に撮像出来るようになってきている.急性期の脳梗塞の診断に,拡散強調画像は有用で,最近行われている血栓溶解療法の適応を判断する上での重要な情報を与える.
    拡散強調画像は,主に脳梗塞に対し用いられることが多いが,その他の臨床的に有用な面としては,浮腫の鑑別,膿瘍と腫瘍との鑑別,くも膜嚢胞と類上皮腫との鑑別などがある.
    脳血流の状態をMRIで,観察する方法に灌流画像がある.拡散強調画像と組み合わせることにより有用な情報を与えるとされている
  • 基礎と臨床
    大島 久二
    2000 年 89 巻 2 号 p. 374-380
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    臨床上多くの難治性疾患,病態に対する治療の切り札としての薬剤がステロイド剤である.ステロイドが結合する受容体は,リガンド依存性転写因子として,この10年,飛躍的な基礎研究の進歩が見られた.さらにステロイドの主作用としての抗炎症・免疫抑制作用の解明も進んできており,現在ステロイドは多くの作用点を有し,多角的に臨床効果をもたらすと考える.一方,ステロイドの臨床的使用法も少しずつ改良され,慢性関節リウマチに対する少量ステロイド併用療法も見直されつつある.さらにステロイドの副作用の予防・治療も骨粗鬆症を中心として確立されつつある.未だ副作用のないステロイド剤は開発されていないが,基礎的知見と臨床効果の接点から,新たな治療法・治療薬剤開発がされつつある.
  • 老年者の心筋梗塞治療ガイドライン作成に関する研究班
    2000 年 89 巻 2 号 p. 381-388
    発行日: 2000/02/10
    公開日: 2008/08/14
    ジャーナル フリー
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