日本内科学会雑誌
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Tamm-Horsfall蛋白の関与が示唆された急性腎不全の1例
土田 知史小沢 尚岩本 正照秋月 正史土橋 健増田 英明中村 宣生長嶋 洋治
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2000 年 89 巻 6 号 p. 1191-1193

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抄録

症例は61歳男性,腹部膨満を自覚,その後,腹部症状の悪化とともに乏尿を伴う腎機能障害が出現し血液透析を開始した.しかしその後も急速な経過を辿り,腎機能の改善も認められず死亡した.剖検にて悪性リンパ腫であることが判明し,剖検腎の組織所見では,ボウマン嚢内に多量の不定形物質の蓄積を認め,この中にTamm-Horsfall蛋白(THP)が同定された.従って本症例はTHPの直接的関与が強く示唆された貴重な急性腎不全例と考えられた.

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