日本内科学会雑誌
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急速進行性腎炎の臨床
山縣 邦弘小山 哲夫
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2001 年 90 巻 11 号 p. 2309-2316

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抄録

急速進行性糸球体腎炎(以下RPGN)は,数週から数カ月の経過で急性あるいは潜在性に発症する肉眼的血尿,蛋白尿,貧血,急速に進行する腎不全症候群である.病理学的には多数の糸球体に細胞性から線維細胞性の半月体の形成を認める半月体形成性糸球体腎炎(crescentic glomerulonephritis)がRPGNの典型像である. RPGNは放置すれば末期腎不全に進行するばかりでなく,しばしば他臓器の致死的な合併症・併発症を伴い,最も重篤な糸球体腎炎症候群といえる.血清クレアチニンが正常値より少しでも上昇し,同時に血尿,蛋白尿,円柱尿等の腎炎性の尿所見を認め, CRP高値,赤沈促進などの炎症性所見を認める「RPGN疑い」症例を見逃さずに,速やかに腎生検等の精密検査の可能な施設に紹介し,確定診断と同時に,腎機能障害の軽度な早期に免疫抑制薬を主体とした治療を開始することがRPGNの予後改善には必須である.

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