2002 年 91 巻 7 号 p. 2186-2188
症例は53歳,女性. 28歳時に大動脈弁閉鎖不全症(AR),僧帽弁狭窄症(MS)に対し,大動脈弁置換術,僧帽弁交連切開術を施行した.この際,下行大動脈に嚢状瘤を認め,同部位のグラフト置換術を行った.今回MSの増悪のため入院.胸部X線上,著明な左第1弓の突出がみられ,大動脈造影にて大動脈のkinkingと拡張病変を認め,紡錘状の弓部大動脈瘤を合併したcervical aortic arch (CAA)と診断した. CAAは稀な先天性大動脈異常であり,大動脈瘤の合併も散見されるが,同一患者に2度の大動脈瘤発生がみられた例はなく,貴重な症例と考えられたので報告する.