日本内科学会雑誌
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飲酒量に応じて重篤化したキノコ中毒の症例
藤山 洋一内藤 真礼生中村 信峯崎 賢亮重田 洋介大久保 充人
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2002 年 91 巻 7 号 p. 2189-2191

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抄録

症例は40歳代の男性兄弟.父親の採取したキノコをアルコールと共に摂取した後(飲酒量は兄>弟,父は飲酒せず),激烈な発汗,嘔吐で来院.兄は重度の脱水と急性腎不全を認め,大量輸液と血液透析で改善.弟は輸液で軽快,父親は無症状であった.飲酒しない高齢の父親は毎年摂取しても無症状な一方,兄弟は飲酒量に比して症状が重篤化したことから,アルデヒド脱水素酵素阻害作用を有するコプリン群のキノコ中毒を疑ったが,後日ムスカリン群のキノコ(アセタケ属)と判明.コプリン群以外のキノコでも飲酒により中毒症状が修飾された可能性があり,キノコ中毒を診断治療する上で注意を要すると思われ報告する.

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