日本内科学会雑誌
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関節リウマチにおける生物学的製剤
光と影
近藤 啓文
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2004 年 93 巻 1 号 p. 153-160

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抄録
RAの治療に使用される現時点で最も重要な生物学的製剤は炎症にかかわるサイトカインの働きを抑制するものである.まずTNFαに対するキメラ型抗体(インフリキシマブ)が開発され,速効性と高い有効性が明らかになった.次に可溶性TNFレセプターによりTNFαの活性を抑制する生物学的製剤(エタネルセプト)が開発され,最初のRAの治療薬として欧米で承認された.その後, IL-1を標的とした治療薬,完全ヒト抗TNFα抗体が欧米の市場に登場した.そしてわが国で開発されたIL-6に対する受容体抗体の治験がすすめられている.これらの生物学的製剤は速効性で著しい効果をもち,関節破壊の進展をを抑制するなどRAの薬物治療に大きな進歩をもたらした.しかし, RAに寛解をもたらすことはできないようである.しかも,高価な製剤であることと安全性に問題を抱えている.安全に使用することが医師の責務である.
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