2004 年 93 巻 10 号 p. 2159-2165
JGL2003はEBMを重視したGINA2002を参考として整合性を図った上で完成されたものであり,幾つかの点でわが国のガイドラインとGINAの共通性が増している.すでに,ガイドラインの普及により喘息悪化による入院・救急受診の著減,適切な診断,重症度分類に基づき急性期の対応に終始することだけでなく,患者教育を通じてより良きパートナーシップの確立のもと,喘息日誌, PEFを通じ自己管理ができるよう指導し,喘息死を防ぐことが最も重要である.喘息の定義,診断基準は必ずしも確立されているとはいえないが,炎症論を中心とした今日の喘息治療に関しては火事を起こさない方がよい(予防).火事が起これば早く消すこと(早期治療→喘息死を防ぐこと)に要約されるJGL2003の更なる啓蒙活動が,病院内だけでなく病・病,病診連携,更に地域におけるチーム医療体制のもと具体化されることが強く望まれる.