日本内科学会雑誌
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内科疾患とうつ病
佐藤 武
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2004 年 93 巻 10 号 p. 2240-2245

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抄録

内科疾患にうつ病を合併すると,内科疾患の転帰(予後)に大きな影響を与える.その臨床特徴は,アルコール症の家族歴のない患者で比較的急性に生じるうつ病,いわゆる反応性うつ病に類似し,薬物治療への反応もよく予後も良好であるといわれている.回復のプロセスは,内科疾患に罹患し,機能障害を有する患者の場合,まずショックから否認,否認から抑うつ反応,抑うつ反応から自立に対する反応,自立に対する反応から適応というプロセスをとる.このようなプロセスは癌告知から受容のプロセスも同様であるが,どの時点を評価するかによって,当然うつ病の合併率は異なる.これまでの報告では,癌患者の30~40%にはうつ病あるいは適応障害があると診断される. 6以上の抑うつ症状を有する患者は5以下の患者と比較して生存率が有意に低下していると報告されている.内科疾患とうつ病に関する最新情報として,高齢者のうつ病,サイトカインおよび内分泌機能などとの関連を紹介した.

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